2008 Fiscal Year Annual Research Report
栄養環境を感知し細胞機能を制御するmTORの新規基質PRAS40の機能解析
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19790213
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大城 紀子 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 助教 (70372662)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / 栄養化学 / アミノ酸 / mTOR / ラパマイシン / プロテインキナーゼ / PRAS40 / リン酸化部位特異的抗体 |
Research Abstract |
近年、アミノ酸はタンパク質を構成する原料であるのみならず、シグナル伝達物質としてタンパク合成制御を介して細胞成長の調節に必須の役割を果たしていることが明らかとなり、栄養シグナルのセンシングから細胞応答に至る経路では生理活性物質の受容伝達と同様にタンパク質リン酸化・脱リン酸化反応が重要な役割を果たすことが示されている。mTORは免疫抑制剤として知られる有機化合物ラパマイシンの細胞内標的タンパク質として同定されたプロテインキナーゼで、アミノ酸濃度の上昇により活性化され翻訳調節因子として知られる4E-BP1およびS6Kのリン酸化を介してタンパク合成・細胞成長を制御していることが明らかとなっている。mTORはそのシグナリング機構から、当初示された4E-BPIとS6Kのリン酸化を介するタンパク合成調節のみならず多彩な細胞機能制御に関わることが想定されるが、代表者らはraptor結合タンパク質の検索の過程で第3のmTOR基質タンパク質としてPRAS40を同定し、mTORによるリン酸化残基(Ser183)を決定することに成功した。PRAS40はプロテインキナーゼAktの新規基質として2003年に報告された分子で、アポトーシス制御への関与が示唆されているが、その機能の詳細は明らかになっていない。代表者らは予備実験により、PRAS40がmRNAの翻訳開始に直接関与しないという知見とともに4E-BPIやS6Kよりもアミノ酸濃度の微細な変動に感受性が高いことを見出した。PRAS40はAktを介した細胞増殖因子からのシグナルとともにmTORを介した栄養シグナルを感知する重要な分子としでタンパク合成調節以外のmTORによる細胞機能制御に関与する可能性が高いと考え、その機能解明に向け実験を進めている。
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