2007 Fiscal Year Annual Research Report
網膜芽細胞腫タンパク質RBとヒストン脱メチル化酵素複合体による細胞系譜制御機構
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19790217
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
日野 信次朗 Kumamoto University, 発生医学研究センター, COEリサーチアソシエイト (00448523)
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Keywords | 発生・分化 / 発現制御 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
網膜芽細胞腫タンパク質RB及びヒストン脱メチル化酵素HDMによる遺伝子発現調節が、脂肪細胞分化及び機能に及ぼす影響について研究を実施し、以下の項目を明らかにした。 1.RB-HDM複合体による脂肪細胞分化制御 HDMの補助因子であり、且つRBと結合する分子であるCoDMが脂肪細胞系譜で発現しており、マウス胎児線維芽細胞において脂肪細胞分化に伴いCoDMの発現が誘導されることを見出した。また、3T3-L1脂肪前駆細胞において、HDM、CoDM、RBのいずれをノックダウンした場合でも細胞内脂肪の蓄積が抑制された。これらのことから、RB-HDM複合体は脂肪前駆細胞が脂肪滴を蓄積する成熟脂肪細胞に転換する過程に重要な役割をもつことが示唆された。 2.RB-HDM複合体の標的遺伝子の網羅的検索 RB-HDM複合体は、クロマチン構造変換を伴う遺伝子発現制御に関与すると予想されたため、前述のCoDM又はRBをノックダウンした3T3-L1脂肪細胞を用いて、標的遺伝子の網羅的検索をcDNAマイクロアレイにて実施した。その結果、ミトコンドリア内エネルギー消費に関わる遺伝子群がRB-HDM複合体の転写抑制の標的となっていることが明らかとなった。このうちのひとつであるRTG-1遺伝子のプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子に連結し、レポーター遺伝子試験を実施したところ、そのプロモーター活性がRB-HDM複合体により調節されていることが示された。 これらの結果から、RB-CoDMは脂肪細胞内のエネルギー消費を抑制することにより、細胞内脂肪蓄積を促進している可能性が示唆された。
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