2008 Fiscal Year Annual Research Report
網膜芽細胞腫タンパク質RBとヒストン脱メチル化酵素複合体による細胞系譜制御機構
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19790217
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
日野 信次朗 Kumamoto University, 発生医学研究センター, COEリサーチアソシエイト (00448523)
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Keywords | 発生・分化 / 発現制御 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
前年度に網膜芽細胞腫タンパク質RBとヒストン脱メチル化酵素HDMが共役して脂肪細胞における脂肪蓄積を促進することを明らかにした。今年度は、脂肪蓄積制御におけるRB-HDMの作用機序を検討した。 1. HDMによるエネルギー消費の制御 前年度にcDNAマイクロアレイを用いて、HDMノックダウン脂肪細胞ではエネルギー消費遺伝子が高発現していることを見出した。本年度は、これら遺伝子のHDMによる制御機構を検討した。クロマチン免疫沈降法により、いくつかのエネルギー消費遺伝子のプロモーター領域にHDM及びその補助因子CoDMが結合していることを脂肪細胞を用いて確認した。さらにHDM、CoDM及びRBのいずれをノックダウンした時でもエネルギー消費遺伝子プロモーターのヒストンメチル化が亢進していることを発見した。これらのことから、RB-HDM複合体はエネルギー消費遺伝子のヒストン脱メチル化を介してその転写を抑制することにより、脂肪蓄積を促進している可能性が示唆された。 2. マウスにおけるHDMの発現解析 生体内におけるHDMの挙動を検討する目的で、HDM及びその補助因子CoDMのマウス組織(肝臓、骨格筋、精巣周囲白色脂肪及び褐色脂肪)における発現をmRNA及びタンパク質レベルで解析した。HDM及びCoDM共に脂肪組織で高発現を示し、CoDMは白色脂肪組織で高発現を示した。さらに、高脂肪食給与により肥満を発症したマウスにおいてはHDM、CoDM共に顕著に高発現を示すことを見出した。これらのことから、HDM複合体はin vitro試験で示唆されたように白色脂肪組織で脂肪蓄積に寄与していると共に、肥満病態に関与している可能性が示唆された。 以上のことから、RB-HDM複合体はエネルギー消費を転写レベルで制御することにより脂肪組織の脂質代謝に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)