2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞のアポトーシスに関連するマイクロRNAの網羅的解析
Project/Area Number |
19790222
|
Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
田中 陽一郎 Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (70450426)
|
Keywords | 癌 / 核酸 / マイクロRNA / アポトーシス / 網羅的解析 |
Research Abstract |
マイクロRNA(miRNA)は、近年明らかになった細胞の遺伝子発現調節を司る小さなRNAで、すでに約700種のmiRNA前駆体が見つかっている。しかし、その機能解析は非常に手間と時間がかかり、効率の良い機能解析法の確立が非常に重要である。 そこで本研究では、効率よくmiRNAの機能を解析するため、miRNA発現ベクターライブラリーをデザインした。昨年度の研究から、さまざまなmiRNAを効率よく発現するベクターのデザインに成功したため、今年度は、これを元にlet-7からmiR-100までの発現ベクターライブラリーを作製した。各ベクターをヒト子宮癌由来細胞株であるHeLa細胞にトランスフェクションし、その細胞増殖能の変化を調べたところ、let-7a-1、let-7f-1、miR-24-2、miR-30b、miR-34a等で強く細胞増殖の抑制が見られた。また、今回のライブラリーの中で、miR-17のみで強い細胞増殖の促進が観察された。これらのベクターによる増殖能の変化について、アポトーシスを起こしているかどうかを調べたところ、miR-34aでは、アポトーシスが増加し、逆にmiR-17では減少していた。miR-34aは癌抑制遺伝子p53の下流でアポトーシスを制御していることが知られており、miR-17はアポトーシスに関連する因子E2F1をターゲットとしていることが知られている。このため、今回の結果はこれらを反映したものであると考えられる。今回明らかになった、その他のHeLa 細胞の増殖を抑制するmiRNAについても、そのメカニズムに関する研究を進めることで癌の治療、診断の応用が期待できる。さらに、本研究の結果により、miRNAの機能解析には発現ベクターライブラリーによる網羅的解析が有効であることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)