Research Abstract |
申請者はバイオインフォマティクスの手法を用い,ヒトゲノムデータベースより新規のユビキチンリガーゼの一つを発見し,「SCRAPPER」と名付けた。SCRAPPERは神経終末に存在し,そこで神経伝達物質放出の調節に関わる分子のユビキチン化に関わるユビキチンリガーゼと想定され,その詳細については更なる検討が必要である。本研究では,SCRAPPER分子がユビキチンリガーゼとして機能することを標的分子の同定とユビキチン化の検出により実証するとともに,SCRAPPER分子の神経シナプスにおける生理学的な機能を解明することを目的とする。 本年度は当初の目的が達成され,前年度までに得られていた結果と合わせて,SCRAPPER分子の神経シナプスにおける機能について考察を行い,論文として報告することができた(Yao eta1.,Ce11,2007)。本年度に予定していた研究計画については,SCRAPPERによる標的分子ユビキチン化を分子量の変化をターゲット分子やユビキチンに対する抗体を用いたウェスタンブロッティング法により検出することができ,また次年度に予定していた標的分子との結合領域の決定を前倒しで行い,決定した。これらの結果は,上記論文中に記載している。ユビキチン化が起こるときの条件については今年度結論を得るには至らず,引き続き検討が必要であると申請者は考えている。 発表した論文については各方面から大きな反響を得,関連する内容について,論文紹介および総説記事を発表した(矢尾,瀬藤,蛋白核酸酵素,細胞工学,実験医学)。更に,平成19年度は学会発表として北米神経科学大会Neuroscience2007にて口頭肇表を行った。学会参加に当たっては,日本神経科学学会よりトラベルアワードを受賞し,参加記を学会誌に寄稿した。
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