2009 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンK依存性タンパク質の生合成機構とビタミンK代謝酵素の機能解析
Project/Area Number |
19790224
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岩田 宏紀 Yamagata University, 医学部, 助教 (70361251)
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Keywords | タンパク質化学 / 酵素反応 / ビタミンK / 血液凝固因子 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
1.プロテインZ(PZ)とPZ依存性プロテアーゼインヒビター(ZPI)の発現調節機構を調べた。 (1)PZを内在的に発現する肝癌細胞株HepG2を用いて、エストロゲンおよびプロゲステロンのPZ遺伝子発現に及ぼす影響をRT-PCRを用いて調べたところ、プロゲステロンがPZの発現を亢進させることが明らかになった。 (2)同様にZPIの発現に及ぼすエストロゲンおよびプロゲステロンの作用をRT-PCRにて調べたところ、ZPIの発現には有意な差が見られなかった。 (3)PZの遺伝子発現に対するエストロゲンおよびプロゲステロンの影響をさらに詳細に調べるため、ルシフェラーゼレポーターアッセイをおこなったところ、RT-PCRの結果と同様に、プロゲステロンがPZの発現を亢進させることが明らかになった。 (4)PZの遺伝子発現に対するビタミンKの影響を調べると、ビタミンK2の存在下ではPZの発現が亢進することが、HepG2細胞を用いたRT-PCRにより明らかになった。 2.昨年度において、血中PZレベルが低値を示した習慣流産の患者について遺伝子多型解析をおこない、遺伝子多型の有無と血漿PZレベルおよび血漿ZPIレベルとの関係について調べた。 (5)習慣流産の患者について、PZ intron E T52Aの多型解析を行った。血漿PZレベルが低値の群では、PZ intron E T52A多型が高頻度で見られた。 (6)PZ intron E T52Aの多型と血漿ZPIレベルとの関係を調べると、PZ intron E T52Aの多型を有する群では、ZPIも有意に低値を示し、PZ-ZPI複合体の形成がZPIの安定化に寄与する可能性が示唆された。 PZおよびZPIの発現へのホルモンの影響は、さらに多くのホルモンについて調べる必要がある。また、PZおよびZPIは複合体の形成が重要であることから、血漿PZ-ZPI複合体の測定系の構築が必要である。
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