2008 Fiscal Year Annual Research Report
HDLの抗動脈硬化作用におけるアポリポ蛋白AIIの役割
Project/Area Number |
19790226
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小池 智也 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40432158)
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Keywords | 高比重リポ蛋白(HDL) / アポリポ蛋白AII(アポAII) / トランスジェニックウサギ / リポ蛋白リパーゼ(LPL) / 脂質異常症 |
Research Abstract |
高比重リポ蛋白(HDL)は、心筋梗塞等の動脈硬化性疾患の防御因子であり、その増加や機能の増強は、疾患発症の予防に優れた効果を発揮することが予想される。HDLの主要な構成蛋白にはアポリポ蛋白(アポ)AIとAIIがあるが、アポAIに比ベアポAIIは、その機能に未だ不明な点が多い。そのため我々は、アポAIIの役割を明らかにするため、ヒトのアポAIIを過剰発現したアポAIIトランスジェニック(Tg)ウサギを開発した。ウサギは内因性のアポAIIを持たないため、導入したヒトアポAIIの役割の解明に適している。 平成20年度の研究では、昨年度に明らかになったアポAII Tgウサギの脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDL-C血症)の成因を明らかにするため、脂質代謝に関連する酵素の活性を測定した。その結果、アポAII Tgウサギでは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)の酵素活性が著明に低下していることが明らかになった。さらに、この脂質代謝異常が動脈硬化の発生進展にどのように影響するかを明らかにすべく、アポAIITgウサギと同腹の対照ウサギを用いて、コレステロール添加食負荷による動脈硬化誘導実験を行った。すると、同量のコレステロールを含む餌を与えているにも関わらず、アポAII Tgウサギでは、血中の総コレステロールおよびトリグリセリドが著明に増加し、このウサギは環境要因(食餌)の影響に対する感受性が高いことが明らかになった。動脈硬化病変における変化は現在病理組織学的解析を進行中である。
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