2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790229
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡本 貴行 Mie University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30378286)
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Keywords | コネキシン / ギャップ結合 / 内皮細胞 / 炎症 / 血液凝固 / 血管病変 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
・研究の背景 血管障害性疾患の多くが、慢性的な血液凝固と炎症の活性化を伴う内皮機能障害と炎症性血管病変を基盤とする。近年、ギャップ結合蛋白質のコネキシン(Connexin : Cx)分子群の機能障害が動脈硬化症や高血圧症の発症に関与することが報告された。私はこれまでに内皮細胞にCx32が発現することを明らかにした。しかし、Cxの機能障害から病態発症に至る機構は明らかでなく、その解明は血管障害性疾患の新たな治療・診断・予防の開発に繋がると考えられる。本研究では内皮細胞の機能に及ぼすCx32およびその他Cx分子群の役割の解析を行った。 ・研究目的 本研究では、内皮機能におけるCx32の役割の解明を目的とし、内皮細胞でのCx32の発現、炎症時に内皮細胞で誘導される組織因子と炎症性サイトカイン発現、Cx32欠損マウスにおける炎症応答を指標にCx分子が内皮機能に与える影響を解析した。これまでの研究成果に基づき、最終報告を提出する。 ・研究成果 各種内皮細胞でCx32が発現し、腫瘍壊死因子刺激でCx32の発現量が減少した。ギャップ結合阻害剤処理により組織因子と炎症性サイトカインの発現が亢進した。内皮細胞にはCx32のほか、Cx37とCx43が発現しており、各Cx分子に対する抗体で処理した結果、抗Cx32抗体は組織因子を亢進、抗Cx43抗体は抑制、抗Cx37抗体は影響を与えなかった。さらに、Cx32欠損マウスでは、エンドトキシン投与で誘発されるサイトカインの発現が亢進した。これらの結果からCx分子群が内皮細胞機能調節に重要な役割を有すことを明らかにした。
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