2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質型SODの臓器特異的ミトコンドリア局在を制御する機構の解明
Project/Area Number |
19790231
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 紋子 Osaka University, 微生物病研究所, 寄附研究部門助教 (60444519)
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Keywords | 抗酸化酵素 / 活性酸素 / スーパーオキシドジスムターゼ / 筋萎縮性側索硬化症 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
生体内で消費される酸素の約95%はミトコンドリア内膜上の電子伝達系によるが、その1〜2%がスーパーオキシドに変換されると推定されている。すなわち活性酸素種の主な発生源はミトコンドリアである。ミトコンドリアの膜間腔(Intemembrane space : IMS)に細胞質型スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)が局在することは、ミトコンドリア内膜からIMS側に放出されるスーパーオキシドを消去するのに重要であると考えられる。筋萎縮性側索硬化症の早期にミトコンドリア障害が見られるが、ミトコンドリアSOD1との関連性は未知な部分が多い。 一方、タンパクのリジン残基とグルタミン残基の架橋反応を触媒するトランスグルタミナーゼのファミリーであるトランスグルタミナーゼ2(TG2)をノックアウトしたマウスでは、ミトコンドリア電子伝達系複合体の形成異常が報告されている。TG2は様々な臓器に発現しており、細胞質、ミトコンドリア、核、細胞表面、細胞外など広範囲に分布していることが知られている。 今年度は家族性筋萎縮性側索硬化症の変異型SOD1がTG2の基質となり共有結合による架橋を形成し、それが筋萎縮性側索硬化症にみられる凝集体形成メカニズムのひとつであることを見いだした。筋萎縮性側索硬化症における凝集体形成機構は未知であったので、今年度の結果により、トランスグルタミナーゼの阻害剤が治療法の開発へと応用できる可能性が広がった。今後の新しい課題と発展させて検討する予定である。
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