2007 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt5a-Ror2によるアクチンダイナミクスと細胞移動の制御機構の解析
Project/Area Number |
19790233
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西田 満 Kobe University, 医学系研究科, 准教授 (30379359)
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Keywords | Ror2 / Wnt5a / アクチンコメット / 細胞骨格 |
Research Abstract |
蛍光タンパク質YFPとアクチンの融合タンパク質をマウス黒色種細胞株(B16F1、B16BL6)、ヒト骨肉腫細胞株(M2、A7)、ヒト骨肉腫細胞株(SaOS2)にそれぞれ発現させ、Wnt5a刺激によるアクチン細胞骨格の変化を生細胞を用いて解析した。その結果、B16F1、B16BL6、M2、A7細胞において刺激後1分以内に葉状仮足の形成が観察された。一方、SaOS2細胞においては刺激後1分以内に糸状仮足の形成が観察された。したがって、Wnt5aによるアクチン再構築制御には、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質、なかでも葉状仮足形成を誘導するRacと糸状仮足形成を誘導するCdc42が関わっていることが示唆された。本解析ではこのような細胞突起の形成だけではなく、細胞質内においてアクチンコメットの形成が観察された。アクチンコメットは刺激後1分以内に一部の細胞で観察され、20分の観察の間に不規則に出現し、細胞内を移動した後、ほぼ1分以内に消失した。このようなアクチンコメット形成は本解析に用いたすべての細胞において観察された。アクチンコメットの出現・消失のタイミング、大きさ、移動距離、移動速度、移動方向についてこれまでの結果から規則性を見出すことができなかった。これまでの報告により、アクチンコメット形成にはチロシンキナーゼであるSrcファミリーの関与が示唆されていることから、Src阻害剤で前処理したB16BL6細胞を用いてWnt5aによるアクチンコメット形成に対する影響を観察した。その結果、Src阻害剤PP2によって顕著にWnt5aによるアクチンコメット形成が阻害された。アクチンコメットはエンドサイトーシスや細胞内小胞の移動の推進力として重要な役割を担っていることから、Wnt5aがこれらの細胞機能の制御を担っていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)