2008 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt5a-Ror2によるアクチンダイナミクスと細胞移動の制御機構の解析
Project/Area Number |
19790233
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西田 満 Kobe University, 医学研究科, 准教授 (30379359)
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Keywords | Ror2 / Wnt5a / 浸潤突起 / アクチン細胞骨格 / MMP-13 |
Research Abstract |
浸潤突起は、がん細胞において観察される特殊な膜構造であり、その形成にはアクチン細胞骨格の再構築と細胞外基質の分解が重要な役割を担ってる。ヒト骨肉腫細胞株SaOS-2およびU2OSにおいて、RNA干渉法によってWnt5aまたはRor2の発現を抑制した結果、浸潤突起形成能が有意に低下した。また、YFP-アクチンを発現させたSaOS-2細胞を用いて、浸潤突起形成の時空間的動態解析を行った結果、Ror2発現抑制細胞では、浸潤突起の形態や存在時間に影響はみられないが、形成される浸潤突起の数が有意に低下していることが見出された。したがって、Wnt5a/Ror2シグナルは浸潤突起の形成過程に重要な役割を担っていることが示唆された。次に、Wnt5a/Ror2シグナルの下流で浸潤突起形成に関与する分子を同定するため、Ror2の発現抑制によって発現変動する遺伝子をDNAマイクロアレイを用いて解析した。その結果、Ror2発現抑制細胞ではマトリックスメタロプロテアーゼ-13(MMP-13)の発現が顕著に低下することが見出された。Ror2の発現抑制によるMMP-13の発現低下はRT-PCR法およびELISA法によっても確認された。また、SaOS-2細胞を精製したWnt5aで刺激することによりMMP-13の発現量が増加することも見出された。MMP-13の発現抑制細胞では、Ror2またはWnt5aの発現抑制細胞と同様に、浸潤突起形成が抑制され、また精製Wnt5aの刺激によって促進される浸潤突起形成は、MMP-13特異的阻害剤(CL-82198)により阻害された。以上の結果より、骨肉腫細胞においてWnt5a/Ror2シグナルはMMP-13の遺伝子発現を介して浸潤突起形成を誘導することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)