2007 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞マーカーCD133の固形癌における発現意義と機能解析
Project/Area Number |
19790240
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
荒尾 徳三 Kinki University, 医学部, 講師 (20441074)
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Keywords | CD133 / 幹細胞 / マイクロアレイ / 消化器癌 |
Research Abstract |
本研究は、予定通り順調に進行している。 (1)固形癌のCD133発現と遺伝子変異の検出 がん細胞20株に対してrealtime RT-PCRでCD133のmRNA発現レベルを検討したところ、胃癌、大腸癌の4細胞株において正常細胞の数万倍以上の強発現が確認された。Flowcytometryによっても細胞株の表面に発現が確認された。また、胃癌細胞株に対してCD133の癌化に伴う遺伝子変異の可能性を調べたところ、5株の胃癌細胞株で後者のexon skipによるsplicing variantが優位であることを明らかにした。以上から、CD133は正常幹細胞のみならず、消化器癌においても広く発現していることを明らかにした。 (2)CD133の機能解析 CD133強発現胃癌細胞株を対象に、siRNAによってCD133の発現抑制を行った。それらのサンプルに対してマイクロアレイを用いて全遺伝子を網羅する遺伝子発現解析を実施した。CD133の遣伝子発現抑制を行うことにより、23遺伝子が2倍以上の発現亢進を示し、8遺伝子が2倍以下の発現抑制を示した。また、上皮分化マーカーであるケラチン、L1CAMタンパクなどが誘導され、一方神経細胞の未分化幹細胞マーカーであるMSI2の発現抑制が観察された。これらのCD133に関連して変動する遺伝子発現情報から、CD133は癌細胞でも「細胞分化」に関与していることが強く示唆された。 今後は今回得られたCD133に関連して変動する遺伝子の解析を更に進めること、CD133の発現抑制系により癌細胞における細胞増殖、薬剤感受性の変化、migration, adhesionなどの細胞形質変化を検出すること、CD133結合タンパクを探索することなどを予定しており、消化器癌におけるCD133の機能を明らかにしたい。
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