2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790241
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
片山 量平 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌化学療法センター・基礎研究部, 研究員 (60435542)
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Keywords | がん幹細胞 / ABCトランスポーター / Side Population / 多剤耐性 |
Research Abstract |
がん幹細胞様の性質(自己複製能、高い造腫瘍性)を有することを確認したSP細胞およびnonSP細胞を免疫不全マウスに移植し、抗がん剤での治療実験を行った結果、SP細胞由来の腫瘍の方が治療抵抗性を示したが、我々のグループがこれまで、抗がん剤多剤耐性克服薬として臨床試験を行ってきた、ABCトランスポーター阻害剤を併用したところ、SP細胞の抗がん剤感受性を亢進させ、SP細胞由来の腫瘍にも顕著な腫瘍縮小効果が得られた。このABCトランスポーター阻害剤は、これまで、ABCB1 およびABCC1 の阻害剤として開発が進められてきたが、本研究において、SP細胞で過剰発現するABCG2の阻害活性も有することを見出し、in vitro, in vivoにおいて証明した。(ここまでの結果は論文にまとめ、報告している。)また、他にSP細胞に過剰発現をしているABCトランスポーターが無いかどうかを網羅的に解析したところ、ABCG2に加えて、あるABCトランスポーターが、様々な細胞株に共通して過剰発現していることを見出した。このABCトランスポーターに対する抗体の作製を試みたが、細胞外領域が極端に小さく、糖鎖修飾を受けており、作製できなかった。このABCトランスポーターの発現は乳がんの予後と逆相関するとの報告もあり、今後更なる解析が必要であり、検討中である。 また、SP細胞で共通した発現上昇を示す遺伝子群を同定するために、乳がんを中心に4細胞株より分離したSP, nonSP細胞よりmRNA を抽出して、マイクロアレイ解析を行った。その結果、SP細胞の生存シグナルに関係すると思われる転写因子の過剰発現と、その他に、あるmicroRNA の過剰発現を見出した。現在、その同定したmicroRNA について標的タンパク質の探索および、SP細胞における発現上昇機構、miRNA発現の意義について検討している。
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