2008 Fiscal Year Annual Research Report
p63新規標的分子による皮膚の発生・再生の分子機構とその治療への応用
Project/Area Number |
19790243
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
市川 智恵 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (60383288)
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Keywords | p63 / 皮膚 / ケラチノサイト |
Research Abstract |
p53ファミリーに属する転写制御因子p63は皮膚の形成に必須な因子であることから、p63の下流標的分子が、ケラチノサイトの増殖・分化・遊走を調節し、表皮形成や皮膚の創傷治癒過程に関与すると考えられる。しかしながら、p63の発現制御機構やp63の標的分子については未だに明らかでない点が多い。本研究では、ケラチノサイトの損傷や外部刺激に対するp63の応答性を調べ、分泌性の生理活性物質や細胞外マトリクス蛋白質に着目して、p63の標的分子を探索し、その機能解析を行った。皮膚の創傷部では、一過性にp63の発現が低下することが報告されている。そこで皮膚ケラチノサイト由来の細胞株HaCaT細胞においてTAp63ならびにdeltaN p63をノックダウンしたときに発現が減少する分泌性分子を探索し、63の標的分子として複数の分子をリストアップした。deltaN p63の標的分子であったmatrilin-2について解析を行った結果、deltaN p63の下流分子であるBMP-7により発現制御を受けることが示され、deltaN p63およびmatrilin-2のノックダウンによってHaCaT細胞の遊走が促進される結果が得られた。さらに、紫外線照射によるp63の発現変化を調べた結果、UV-B照射によりdeltaN p63のmRNAおよび蛋白質の減少が認められた。これらの結果から、皮膚の損傷時において一過性のp63発現低下にともなう下流分子の発現減少が、細胞遊走を促進させ、治癒過程に寄与する可能性が示された。
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Research Products
(1 results)