2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工染色体ベクターを用いた毛細血管拡張性運動失調症の新規遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
19790246
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
香月 康宏 Tottori University, 大学院・医学系研究科, 助教 (90403401)
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Keywords | ヒト人工染色体 / 遺伝子治療 / 染色体工学 / 毛細血管拡張性運動失調症 / ES細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Telangiectasia : AT)はヒト11番染色体上に存在するATM遺伝子の機能欠損により引き起こされる常染色体劣性の疾患であり、小脳失調に伴う神経変性,免疫不全や発癌感受性、放射線感受性など多彩な表現型を示す。本研究の目的は1)ヒト人工染色体(HAC)ベクターにATM遺伝子全長をクローニングし治療用ATM-HACベクターを作製すること、2)自己幹細胞にATM-HACベクターを導入し、造血幹細胞へ分化誘導後ATM欠損マウス(自己)に移植し、AT患者の死亡原因のトップを占める造血系表現型を対象とした遺伝子治療を行うこと、である。 本年度はAtm欠損マウスの尻尾培養細胞から移植技術により、ntES細胞を作製したところ、ES細胞様の独立した2ラインを樹立することに成功した。次にこの細胞が分化能を持つかを検討するため、ヌードマウスの皮下に移植して、HE染色をすることで3胚葉への分化を検討したところ、いずれも3胚葉への分化を示すことが明らかとなった。昨年度までに構築・精製したATM-HACを上記マウスAtm欠損ntES細胞に微小核細胞融合法にて導入したところ、薬剤耐性クローンが約20クローン取得でき、そのうちの10クローンで導入したATM遺伝子の存在がPCR法により確認できた。次に上記クローンをRT-PCR法にて、ATM遺伝子発現を調べたところ、10クローン中8クローンで、ATM遺伝子の発現が観察された。今後は、このntES細胞を用いて、血液系への分化を誘導し、Atm欠損マウスへ移植することで、自己幹細胞による遺伝子治療モデル構築を目指す。
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Research Products
(3 results)