2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子間相互作用の新定義に基づく複雑な疾患の遺伝子のパラメトリック検出法の開発
Project/Area Number |
19790247
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
間野 修平 Nagoya City University, 大学院・システム自然科学研究科, 准教授 (20372948)
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Keywords | 遺伝疫学 / 統計遺伝学 / 集団遺伝学 / 遺伝子間相互作用 / ランダムグラフ |
Research Abstract |
複雑な疾患の発症には複数の遺伝子座と環境要因の相互作用がかかわることが認識されつつある。既存の検出法はノンパラメトリック(疾患のモデルを仮定しない)であるため,結果が疾患のメカニズムについて何を意味するのかわからない,評価にクロスバリデーションを使わざるを得ず,計算時間を要する上,統計学的根拠があいまいという欠点をもつ。本研究は,複数の遺伝子座と環境要因の相互作用をモデル化し,パラメトリックな検出法を開発することを目的としている。本年度は,遺伝子間相互作用を定義し,2つの遺伝子間相互作用のみという制限をおいた疾患モデルを構築し,その性質を調べた。まず,既存の連鎖解析の枠組みにより家系が既知の場合について考察した。分離比分析による二重劣性モデルと単一劣性モデルの尤度比検定の検出力を解析的に求めたところ,例えば10%の不完全浸透のもとで3以上の期待LODを得るには76人の子供が必要であることがわかり,現実にはさらに多くの家系が必要となると考えられるため,家系収集の難しさを考えると実用的でないことがわかった。そこで,家系が未知の場合について,集団遺伝学におけるランダムグラフを適用することで,関連解析の枠組みにのせることを着想した。遺伝子間相互作用のパラメタとして2座位遺伝子型の選択係数を用いた。2座位に連鎖がない場合は,同時に分岐をおこす2つのancestral selection graphが対応し,ある突然変異モデルの下では尤度が解析的に求まり,尤度比検定が容易であることがわかった。連鎖がある場合は,ancestral selection graphとancestral recombination graphを統合したランダムグラフが必要になるが,尤度を解析的に求めることはできない。そこで,尤度を数値的に求めるアルゴリズムを考案中である。
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