2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子間相互作用の新定義に基づく複雑な疾患の遺伝子のパラメトリック検出法の開発
Project/Area Number |
19790247
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
間野 修平 Nagoya City University, 大学院・システム自然科学研究科, 准教授 (20372948)
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Keywords | 遺伝疫学 / 統計遺伝学 / 集団遺伝学 / 遺伝子間相互作用 / ランダムグラフ |
Research Abstract |
複雑な疾患の発症には複数の遺伝子座と環境要因の相互作用がかかわることが認識されつつある。既存の検出法はノンパラメトリック(疾患のモデルを仮定しない)であるため、結果が疾患のメカニズムについて何を意味するのかわからない、評価にクロスバリデーションを使わざるを得ず、計算時間を要する上、統計学的根拠があいまいという欠点をもつ。本研究は、複数の遺伝子座と環境要因の相互作用をモデル化し、パラメトリックな検出法を開発することを目的としている。昨年度、既存の連鎖解析の枠組みである分離比分析で遺伝子間相互作用を検出するためには多数の家系が必要であり、家系収集の難しさを考えると現実的でないことがわかり、家系が未知のサンプルから遺伝子間相互作用を検出する手法が必要なことがわかった。そこで、本年度は、家系が未知のサンプルから集団遺伝学におけるランダムグラフに基づく隠れマルコフモデルを用いてゲノムの多点における個体間のIBDを推定することで疾患と遺伝子座の連鎖を検出する手法を考案し、FPL(Finite Population Linkage mapping)法と命名した。検出力について通常の家系に基づく連鎖解析の標準的なソフトウェアであるSOLARと比較した。 SOLARは、ランダムサンプルについては、その両親までの完全な家系とマーカーの情報が得られたとしても、FPL法に及ばないことがわかった。この結果について論文を発表し、FPL法をソフトウェアに実装した。遺伝子間相互作用を検出するためには現在実装している尤度を拡張する必要があるが、尤度を解析的に求められないため、数値計算を用いたアルゴリズムが必要になる。この点についてはまだ考察中であるが、基礎となるサンプルの系統関係を表す1点のランダムグラフの解析的な性質については十分な検討を完了し、その結果についての論文が受理された。
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