2007 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌における分泌型Frizzled関連遺伝子の発現とエピジェネティックな制御
Project/Area Number |
19790249
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤平 純一 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (90359505)
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Keywords | エピジェネティクス / メチル化 / 卵巣癌 / 分泌型Frizzled関連遺伝子 |
Research Abstract |
平成19年度は主として分泌型Frizzled関連遺伝子を含む多数の遺伝子について、卵巣癌におけるメチル化の有無を検討し、多数遺伝子のメチル化の有無(CIMP)および臨床病理学的な意義について検討した。対象は卵巣癌凍結標本64例および正常卵巣凍結標本6例である。対象となる遺伝子としては、14-3-3sigma(σ), TMS1, cyclinD2, RIZ1, p16, DAPK, RASSFIA, WIF1, RARβ2, SFRPs (SFRP1,2,5), CHFR, BMP2とし、これら遺伝子のメチル化の有無をmethylation specific PCR(MSP)法により検討し、臨床病理学的因子との関連について検討を行った。 15遺伝子のうち、メチル化陽性遺伝子数は正常卵巣で1.5個、卵巣癌で2.95個であった(p<0.05)。また3個以上の遺伝子がメチル化されている症例をCIMP陽性とすると正常卵巣で12.5%、卵巣癌で51.6%がCIMP陽性であった(p<0.05)。CIMPの有無は組織型、進行期および術後残存腫瘍と有意な相関が認められたが、予後との関連は明らかではなかった。 CIMPについての検討から、卵巣癌のメチル化についてはランダムに起こっているのではなく、組織型や進行期などによりメチル化されやすい腫瘍群が存在することが示唆された。近年、脱メチル化剤による治療が臨床応用されようとしているが、上記のような研究により卵巣癌においてメチル化により抑制されている新たな癌抑制遺伝子を同定しておくことで、将来個別の難治性卵巣癌に対する治療として臨床へフィードバックできる可能性があるものと考えている。
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