2007 Fiscal Year Annual Research Report
早期胃癌に対する内視鏡治療の組織学的適応基準の最適化を目指した病理組織学的解析
Project/Area Number |
19790251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛久 哲男 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (60376415)
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Keywords | 胃癌 / 悪性度 / Glypican3 |
Research Abstract |
早期胃癌に対する内視鏡治療の適応基準の最適化を目指して、胃癌のリンパ節転移や遠隔転移をはじめとずる悪性度の指標となる所見、マーカーを見出すため、当施設の胃癌症例のreview、tissue micro arrayを用いた免疫組織学的マーカーの検索を行った。926例の胃癌症例を検討した結果、特に有用なマーカーの一つとしてGlypican 3を見出し、今年度はこれを中心に解析を進めた。胃癌の11%がGlypican 3陽性であったが、早期胃癌の中で術後経過観察中に転移をきたして再発した例はすべてGlypican3陽性であった。また早期胃癌においてGlypican 3陽性例は陰性例に比して有意にリンパ管侵襲、静脈侵襲が高率であった。Glypican 3陽性例は組織像にも特徴があり、日本の胃癌取扱い規約分類ではpor1,pap,tub2の像を示し、特にclear cell pattem,hepatoid atternを示す例の大部分はGlypican 3陽性であった。AFP産生胃癌は早期から肝転移を起こし得る予後不良な胃癌で、分化型であっても内視鏡治療の適応外とすべきであるが、血清値や免疫染色で早期よりAFPを同定することは困難な場合が多い。今回の検討では25例のAFP産生胃癌は全例Glypican 3陽性であり、Glypican 3の方がより早期より発現がみられることから、Glypican 3陽性胃癌の一部が進行とともにAFP産生性となる可能性が考えられた。Glypican 3は血清マーカーとしての有用性も肝細胞癌などで示されており、胃癌においても早期より高悪性度胃癌を検出する血清および免疫組織学的マーカーとなり得ると考えられた。これらの結果は2008年の日本胃癌学会総会で発表し、現在投稿準備中である。
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