2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織マイクロアレイを用いた肝細胞癌の免疫組織学的検討-有意な腫瘍群の抽出の試み
Project/Area Number |
19790252
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴原 純二 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (60334380)
|
Keywords | 肝細胞癌 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
肝細胞癌では、同様の組織像を呈する腫瘍においても、再発、生存率に反映される生物学的振る舞いは多様であることが知られており、現行の組織学的分類のみに基づいて、各症例の予後を予測することは困難である。組織学的分類を補完するものとして、遺伝子発現型に基づく腫瘍分類が試みられているが、本研究は組織マイクロアレイを用いた免疫組織学的手法により、複数の遺伝子経路の関連遺伝子について、蛋白の発現解析を行い、経過予測可能な均一な腫瘍群を得る発現型の抽出を目的とした。 当院で外科的手術された肝細胞癌症例から、肝細胞癌約200例、非腫瘍肝組織約150例からなる組織マイクロアレイを作成し、同アレイを用い、Wnt/β-catenin経路、AKT経路、MAPK経路、JAK-STAT経路、Notch経路の関連遺伝子、Myc関連遺伝子に関し、代表的な遺伝子について発現の検討を行った。 Wnt/β-catenin経路については、β-cateninの核内集積が肝細胞癌の約20%に認められ、核内集積例においてE-cadherinの発現は有意に減少していたが、標的遺伝子であるcyclin D-1やc-mycの発現との間に相関は確認されなかった。AKT経路については、p-AKTの発現が肝細胞癌の約30%に認められたが、関連遺伝子であるmTOR, p70S6の活性化(p-mTOR, p-p70S6の発現)との間に明瞭な相関は確認されなかった。 目下のところ、脈管侵襲、肝内転移などの臨床病理学的因子と相関する遺伝子発現型は得られていないが、各種遺伝子の発現と臨床病理学的因子、予後との相関の検討を、引き続き行っていく予定である。
|
Research Products
(1 results)