2008 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺転写因子TTF-1のエピジェネティックス制御と癌の分化誘導に関する研究
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19790257
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
近藤 哲夫 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (30334858)
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Keywords | 甲状腺癌 / 遺伝子 / エピジェネティックス |
Research Abstract |
甲状腺濾胞上皮、甲状腺癌細胞の機能・分化を制御する上で最も重要な役割を担っているのがThyroid transcription factor-1(TTF-1)、TTF-2、PAX-8といった転写因子群である。正常甲状腺では濾胞上皮の核にTTF-1は局在し、免疫組織化学的には良性甲状腺腫瘍、高分化甲状腺癌ではほぼ全例にTTF-1は陽性だが、未分化癌では発現が抑制されており、陰性もしくはごく一部にわずかな陽性所見をみるのみである。しかしながら甲状腺癌の脱分化に伴ってみられるTTF-1の発現抑制のメカニズムは未だ解明されておらず、本研究課題ではTTF-1遺伝子のエピジェネティックスによる発現制御と甲状腺癌の分化誘導に焦点をあて研究を行っている。平成19年度においては、人体材料、甲状腺癌培養細胞を用い、TTF-1のCpGislandのメチル化状態をmethylation specific PCRで解析を行った。その結果正常甲状腺組織では非メチル化状態であるTTF-1 CpG islandに甲状腺癌培養細胞の一部において高度なメチル化状態が存在することがわかった。平成20年度にはTTF-1 mRNA陰性の甲状腺癌細胞に対してAZA-deoycytidineによるDNA脱メチル化処理を行うとTTF-1 mRNAの発現が誘導されることを証明し、またTTF-1の発現制御にはDNAのメチル化のみならず、クロマチン修飾が重要であることもChIPアッセイを用いて証明した。TTF-1の発現抑制機構の理解とTTF-1をターゲットにした分化誘導の試みは致死的な甲状腺未分化癌に対する新しい治療法の開発につながる可能性があり、本研究の研究成果は重要なものであると考えている。
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Research Products
(1 results)