2008 Fiscal Year Annual Research Report
SAGEデータを基盤にした胃型腸型形質を有する胃癌に関連する遺伝子の網羅的解析
Project/Area Number |
19790261
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大上 直秀 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60346484)
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Keywords | 胃癌 / 形質発現 / HOXA 10 / GJB6 |
Research Abstract |
本研究では胃癌において、胃型・腸型形質に関連している遺伝子を体系的、網羅的に同定することを目的とした。これまでの網羅的遺伝子発現解析から、腸型形質の胃癌においてHOXA 10が発現していることを明らかにしている。本年度は、HOXA 10の標的分子の解析を行った。胃癌細胞株HSC-39、HSC-57を材料にHOXA 10をノックダウンし、MUC2、CD10の発現を検討したが、大きな変化はなかった。HOXA 10は腸の転写因子CDX2の標的遺伝子であること報告されており、大腸癌細胞株HT29を材料にCDX2の発現ベクターを導入し、HOXA 10の発現をWestern blotで検討したが、HOXA 10の発現はされなかった。腸型形質の胃癌におけるHOXA 10の発現の意義については未だ不明であり、現在腸型形質に関連するMUC2やCD10以外の分子について関連を検討中である。一方、胃型・腸型形質に関連している遺伝子として、GJP6を同定している。GJP6はギャップ結合を構成する蛋白質の一つであるコネキシン30をコードする遺伝子である。胃癌157例を材料にコネキシン30の免疫染色を施行したところ、34例(22%)に染色され、深達度が浅い症例において高頻度に染色された。コネキシン30陽性例では腸型形質を有する胃癌は71%に検出されたのに対し、コネキシン30陰性例では32%のみに腸型形質を有する胃癌が認めら、コネキシン30陽性例は有意に高頻度に腸型形質を有していた(P=0.0003)。コネキシン30はギャップ結合を構成する蛋白質の一つであり、腸型形質を有する胃癌では、細胞間情報伝達が異なっている可能性が示唆された。以上から、胃型・腸型形質の胃癌では遺伝子発現プロファイルが大きく異なっており、それぞれの病態形成に関わっていると想定された。さらにこれらの分子は治療標的としても有用である。
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Research Products
(22 results)