2007 Fiscal Year Annual Research Report
傷害により誘導される蛋白質CARPを用いた糸球体腎炎の診断と治療法の確立
Project/Area Number |
19790264
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中田 知里 Oita University, 医学部, 技術職員 (60379625)
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Keywords | 糸球体腎炎 / CARP蛋白質 / 蛸足細胞 |
Research Abstract |
以前に、我々の研究室において筋特異的蛋白質Cardiac ankyrin-repeated protein (CARP)が糸球体腎炎の蛸足細胞で発現誘導することを発見した。興味深いことに、発現誘導はすべての症例で見られるのではなくネフローゼ症候群(重症の蛋白尿)を呈する重症例で観察された。蛸足細胞は糸球体のろ過機能を担っており、糸球体腎炎のメカニズムにおいて蛸足細胞に対する傷害が重要である。したがって、CARPの発現誘導をモニターすることは、蛸足細胞の傷害や糸球体腎炎の診断、病態のモニターに役立つと考えられる。 腎炎の確定診断・病態のモニターには腎生検が行われるが、これは患者への負荷が大きい。一方、しばしば蛸足細胞が尿中に剥離することはすでに知られており、患者の尿沈さからCARP蛋白質が検出できる可能性がある。尿沈さを用いたELISAによってCARP検出が可能になれば、簡便に糸球体腎炎の病態をモニターすることが可能になるかもしれない。 今年度は、糸球体腎炎患者の尿中剥離細胞(尿沈さ)からCARP蛋白質が検出できることを確認した。腎炎患者(延べ93例)の尿から、遠心により沈殿された細胞を回収し、これをCARPとポドカリキシン(蛸足細胞マーカー)について免疫染色した。延べ93例中33例で蛸足細胞が検出された。33例のすべての症例においてCARP陽性であり、蛸足細胞に対するCARPの陽性率は約44%であった。沈さには円柱上皮も含まれたが、これにはCARP発現は認められなかった。糸球体腎炎において蛸足細胞が尿中に剥離してくること、尿沈さを用いてCARP蛋白質が検出できることが確認された。
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Research Products
(2 results)