2008 Fiscal Year Annual Research Report
傷害により誘導される蛋白質CARPを用いた糸球体腎炎の診断と治療法の確立
Project/Area Number |
19790264
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中田 知里 Oita University, 医学部, 技術職員 (60379625)
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Keywords | 糸球体腎炎 / CARP蛋白質 |
Research Abstract |
マウスにLPSを腹腔内投与またはアドリアマイシンを尾静脈注射すると、蛸足細胞が傷害され、蛋白尿が検出されることから、ネフローゼ症候群を伴う腎炎モデルの一つとして用いられている(Reiser et al., J Clin Invest 2004、Teixeira et al., Kidney Int 2005)。また、レニン・アンギオテンシン系も糸球体腎炎の発症・進展に重要であると考えられている。マウスにアンギオテンシンを投与すると糸球体腎炎を引き起こすことも知られている。これらのモデルにおいて、蛸足細胞にCARPの発現が誘導されるかを確認した。コントロール群にはPBSを注射した。 マウスに薬剤投与後、1週間、2週間後に腎臓を摘出して、ホルマリン固定、パラフィン包埋し、CARPとシナプトポディン(蛸足細胞マーカー)について蛍光二重染色を行った。そして、糸球体に注目して、CARPとシナプトポディンの陽性率を調べた。 これら3種類の薬剤における糸球体腎炎モデルは、それぞれ起序が異なっているが、すべての薬剤でCARPが誘導され、コントロール群に比較して陽性率が2.5〜4.5倍程度上昇していた。一方、シナプトポディンの陽性率について、アドリアマイシンではコントロール群と差がなかったが、LPS、アンギオテンシン投与群では陽性率が低下していた。蛸足細胞の障害され方も、3種の薬剤で異なっているかもしれない。CARPはいずれの薬剤でも誘導されたことから、糸球体腎炎のマーカーとして有効であると考えられる。
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