2007 Fiscal Year Annual Research Report
直腸がんにおける放射線化学療法後の病理学的評価法の確立
Project/Area Number |
19790277
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
小嶋 基寛 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 臨床腫瘍病理部, 室長 (30338470)
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Keywords | Patholopy / colorectal cancer / cancer stem cell / survival / CD133 |
Research Abstract |
腫瘍における放射線化学療法の効果判定を行うための検討を行った。がん性幹細胞は放射線化学療法に抵抗性があると考えられており,それらの局在や発現量と臨床病理学的検討を行うことは放射線化学療法の効果判定や効果予測に役立つと考え,大腸癌の幹細胞マーカーと報告されているCD133免疫染色を当院で外科的に手術された189例において施行した。大腸癌におけるCD133発現は29例(15.3%)においてのみ見られ,腫瘍の10%以上に発現する高発現症例は21例(11.1%)であった。CD133の発現は腫瘍腺管の管腔側にみられ,表層及び浸潤部で発現に差を認めなかった。またCD133高発現症例は全例分化型腺癌であり,低分化腺癌には陽性症例は見られなかった。分化型腫瘍に絞った検討においてCD133の高発現は予後不良であることが分かったが,無病再発期間との関連及びその他の臨床病理学的因子との相関は認めなかった。 次に大腸癌細胞株においてCD133の発現をflowcytemetryを用いて検討した。検討したヒト大腸癌細胞株のうちCD133発現を有するCaco-2,HT116においてCD133陽性及び陰性細胞を採取し培養を行ったところ,CD133陰性細胞からCD133陽性細胞と陰性細胞が出現することが分かったため,CD133陰性細胞もがん幹細胞の特徴である自己再生能を有することが予想された。 また,Caco-2におけるCD133陽性細胞採取後の経時的なCD133発現を検討したところ,細胞密度と相関してCD133の発現細胞の割合が増えることがわかった。以上のことから,CD133は大腸癌の予後不良因子であるが,その免疫組織学的局在及び細胞株の検討からは大腸においてがん幹細胞のマーカーである証拠は得られなかった。
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