2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎におけるATPによる肝炎悪化のメカニズムの解明
Project/Area Number |
19790284
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川村 宏樹 Niigata University, 医歯学系, 講師 (20333495)
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Keywords | ATP / 自己免疫性肝炎 / マクロファージ / P2X_7受容体 / TNFα / NKT細胞 / T細胞 / IL-1β |
Research Abstract |
本研究は、自己免疫性肝炎のモデルあるマウスのCon A誘導性肝炎において、T/NKT細胞に傷害された肝細胞から放出されたATPがMφの活性や肝炎悪化に関与する経路を検討している。 1)肝細胞内成分投与によるCon A肝炎の症状悪化と白血球分画の検討 肝細胞内成分投与群の肝炎は、ALT値および組織学的所見から有意な炎症悪化が認められた。また、PEC内の白血球分画は、肝臓内成分投与マウスでMφの増加が確認され、Con Aを投与すると顆粒球の増加が確認された。このことにより、Mφが肝臓内成分投により活性され炎症が悪化したと考えられた。 2)in vitroでATPとCon A刺激によるMφのサイトカイン産生 in vitroでATPが、Mφを活性化する事が報告されている。そこで、in vitroでATPとCon A刺激によるMφのサイトカイン産生能を測定した。その結果、IL-1βとTNFαが、Con A単独刺激よりATPを加えると有意に産生が増強された。このことから、ATPは炎症性サイトカインの産生を増加させ、肝炎の悪化を助長していると考えられた。 3)ATP投与によるCon A肝炎の症状悪化 今までの結果から、ATPを直接投与してCon A肝炎の悪化を検討した。その結果、ATPの予備刺激による肝炎の悪化は認められなかったが、Con A投与後にATP投与するとALT値の有意な増加を認め、さらに4割近いマウスが死亡した。これらのことから、ATPは肝炎の誘発を助長するより、肝炎の悪化に関与している可能性が示唆された。 本検討より、肝炎により放出されたATPは活性化したMφを更に刺激して、TNFαの産生増加がおこり肝炎の悪化につながると示唆された。今後は更に、肝炎後の活性化したMφとATPの相互作用を検討する予定である。
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