2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん染色体不安定性の要因としての中心体サイクル制御機構異常に関する研究
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19790286
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
新村 和也 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 准教授 (40321880)
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Keywords | 中心体 / 染色体不安定性 / NORE1A / 中心体サイクル / 非小細胞肺がん / EML4-ALK / 中心体過剰複製 / がん抑制遺伝子 |
Research Abstract |
1. がん抑制遺伝子NORE1Aは、核細胞質シャトル蛋白質であり、その一部は中心体に局在するが、その中心体上NORE1Aの役割は解明されていなかった。そこで、中心体制御、染色体数制御の点から、NORE1Aの機能解明を試みた。p53欠損肺がん細胞株H1299に、DNA合成阻害剤hydroxyurea(HU)を処理すると、3個以上の中心体を有する細胞の割合が増加し、中心体過剰複製が生じることが蛍光免疫染色法で示された。NORE1Aを外来性に発現させると、その割合は部分的に抑制された。核外移行シグナル(NES)変異体は、中心体に局在せず、また、HU誘発中心体過剰複製の抑制活性を示さなかった。FISH解析で染色体2番と16番の染色体数を計測すると、HU処理によってみられる染色体数異常を、野性型NORE1Aは部分的に抑制したが、NES変異型は抑制しなかった。これらのことから、NORE1Aは、HU誘発中心体過剰複製の抑制活性、および、中心体過剰複製を介すると考えられるHU誘発染色体不安定性の抑制活性を有することが示唆された。さらに、非小細胞肺がんにおけるNORE1Aの発現を定量的PCR法で調べたところ、細胞株で100%(12/12)、原発性がん検体で49%(25/51)がmRNAレベルでの低発現を示し、NORE1A発現低下は非小細胞肺がんにおける頻度の高い遺伝子異常の一つであることが示唆された。2. 細胞分裂期の紡錘体上に局在するEML4蛋白質の、ALKとの融合蛋白質の存在を、302例の原発性非小細胞肺がん検体で、免疫染色法を利用して検討した。そして、10例でEML4-ALK mRNAの存在を明らかにした。1例は、EML4のエクソン14が、ALKのエクソン20の53番目の塩基に、2塩基を介してつながる新規の型を有していた。ALK融合蛋白質探索における免疫染色法の有用性を示すことができた。
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