2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790296
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 章人 Juntendo University, 医学部, 助教 (30439294)
|
Keywords | 細胞死 / カスパーゼ / TNF α / Fas / ミトコンドリア / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
1細胞死の研究はこれまでにがんや自己免疫疾患の解明に大きく貢献しており、近年はアポトーシスが誘導される分子メカニズムのみならず、細胞が死んだ後に死細胞はどのように処理されるかということも注目されている。もし死んだ細胞が適切に処理されなければそれが何らかの原因となって慢性炎症や自己免疫疾患が誘導される可能性が考えられるからである。この研究課題では炎症性サイトカインであるTNFαやFasにより急速にカスパーゼが活性化した細胞において、ミトコンドリアが細胞外に積極的に排出されるという新しい現象について解析してきた。これは従来から知られているアポトーシスやネクローシスとは異なった形態変化の解析であり、新しく斬新な試みである。 まずin vitroの系で細胞死を誘導し、その形態について電子顕微鏡を用いて詳細に検討した。抗アポトーシスタンパクであるc-FLIPをノックアウトした細胞ではTNFαやFasにより急速にカスパーゼが活性化し死に至るが、細胞死の形態はすべて同じではなくアポトーシス、ネクローシスとともに細胞内に大量の空胞を伴い分断化されたミトコンドリアを積極的に排出している細胞群を認めた。ミトコンドリアは細胞死の過程で分断化されていくことが知られているが、分断化されたあとはほかのオルガネラや細胞質と同じように細胞膜に包まれて貪食されると考えられてきた。 しかし今回の実験結果から、かなり多くの細胞でミトコンドリアはいわばnakedの状態で細胞外に放出されていることが分かった。同様の現象はマウスに抗Fas抗体を投与して劇症肝炎を誘導したときの肝細胞でも観察され、in vitroだけではなくin vivoでも確かめられた。ミトコンドリアタンパクを抗原とする自己免疫疾患として原発性胆汁性肝硬変が知られており、放出されたミトコンドリアが何らかの形で抗原になりうれば新たな細胞死のメカニズムとともに自己免疫疾患との関わりを知ることが出来ると考えている。
|
Research Products
(5 results)