2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質代謝と硬化関連サイトカインからみた糖尿病性腎症における内皮細胞障害機序の検討
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19790297
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
種田 積子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (40408472)
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Keywords | 糖尿病 / 脂質 / 病理学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の初期変化として、糸球体内皮細胞腫大・変性があるが、最近では高血糖に起因する尿細管障害も糸球体病変を増悪させている可能性が示唆されている。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は糖・脂質代謝に関与する種々の標的遺伝子を調節している転写因子で、糖尿病の糸球体硬化進展に関与しているのが知られているが、これらの糸球体内皮細胞障害の進展に関しては明らかでない。また、脂質代謝改善薬(eicosapentanoic acid : EPA)が腎病変に与える影響もほとんど検討されていない。申請者は糖尿病の腎病変の進展機序に関し、PPAR・とTGF・・1、アポトーシスに注目し、糖尿病性腎症の初期症状である糸球体内皮細胞障害や尿細管傷害においてこれらの関与をVivoとVitroの両面より検討した。STZ投与で糖尿病を発症させた群(DM群)と、上記に加えEPAを同時に投与した群(EPA群)を作製し、2週間後、western blottingや免疫組織学的手法で脂質過酸化物、TGF-・1、PPAR・を検討した。また、ラットの糸球体内皮細胞および尿細管上皮細胞をmethylglyoxalで培養し、糸球体内皮細胞ではPPAR・とTGF・・1の発現を、尿細管上皮細胞では、活性酸素種(ROS)とアポトーシスの発現を検討した。DM群では、多量の尿中アルブミンを示し、組織学的には、軽度の糸球体の腫大と高度の尿細管上皮傷害が見られた。免疫組織学的には、糸球体内皮細胞におけるPPAR・はわずかに減弱し、TGF・・1は軽度にメサンギウムでの増加を認めたものの、内皮細胞では著変を認めなかった。また、尿細管上皮細胞での脂質過酸化物の有意な上昇がみられた。-方EPA投与群では、尿中アルブミンが減少し、組織学的に尿細管病変の改善が見られた。免疫組織学的にも、脂質過酸化物の減少やアポトーシス細胞の減少がみられた。同様の所見はin vitroでも確認された。今回の研究によって、糖尿病腎症でのPPAR・や硬化関連因子、ROSの関与が明らかになり、今後の病状進展を阻止しうると思われる。
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Research Products
(6 results)