2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌性幹細胞ニッチ構築における幹細胞マーカーCD133分子の機能解析
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19790300
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
下里 修 Chiba Cancer Center (Research Institute), 生化学研究部, 研究員 (30344063)
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Keywords | 癌性幹細胞 / CD133 / 幹細胞ニッチ |
Research Abstract |
組織形成や修復を司る幹細胞が同定されている。その中で、固形腫瘍においても、幹細胞様の性質を示す細胞群が含まれることが報告されて以来、がん組織の起源となる癌性幹細胞の存在が示唆されている。ヒト固形腫瘍細胞における幹細胞マーカー発現の意義を、腫瘍関連間質の形成能力という面から検討していくために、平成19年度は以下の解析を行った。 1.代表的な幹細胞マーカーのCD133遺伝子の、ヒト培養腫瘍細胞における発現を探索した結果、大腸がんおよび肝がん由来の細胞株は、CD133を高率に発現し、一方、ほとんどの肺がん由来の細胞株ではその発現が検出できなかった。そこで、RNA干渉によって人為的にCD133発現レベルを低下させた大腸がん細胞を作製し、造腫瘍能におけるCD133の機能を検討した。その結果、CD133抑制大腸がん細胞では、足場非依存的増殖能力が低下し、ヌードマウス皮下腫瘍モデルにおいても、腫瘍形成能力が低下していることが見出された。以上から、CD133は腫瘍形成に寄与することが示されたので、現在、同腫瘍細胞によって形成された皮下腫瘍の病理学的解析を進めている。 2.上記の研究で見出されたCD133陽性の大腸がん細胞株は、興味深いことに、前駆細胞様の性質を持ち、ある種の化学試薬などで大腸細胞様の細胞へ分化することが報告されていた。そこで、CD133分子が、大腸がんにおける癌性幹細胞を示すマーカー分子である可能性を検討するため、分化誘導におけるCD133の機能を検討している。現在までに、化学試薬による分化誘導において、CD133発現は、分化に伴って転写レベルから抑制されることを見出した。現在、RNA干渉によってCD133発現レベルを低下させた大腸がん細胞を用いて、分化誘導におけるCD133の機能解析を進めている。
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