2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌が分泌する乳酸によって免疫応答が増強されるメカニズムの解明
Project/Area Number |
19790302
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
志馬 寛明 Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses, 研究所, 研究員 (70372133)
|
Keywords | 癌 / 乳酸 / Toll-likereceptor / IL-23 / IL-17 / 免疫調節 / 自然免疫 / 炎症 |
Research Abstract |
癌細胞の培養上清にToll-like receptor(TLR)2/4リガンドで活性化した単球/マクロファージからのIL-23産生を増強する活性があることを見出し,その活性物質が乳酸であることを明らかにしてきた。本年度は,乳酸の作用機構を解析した。IL-23pl9遺伝子プロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子を用いたレポーターアッセイ系を構築し,TLRリガンドで刺激するときの乳酸添加の有無によるルシフェラーゼ活性の変化を調べたところ,翻訳開始点から上流約2.7kb内に乳酸シグナルに応答する領域があることがわかった。その領域内には,TLRシグナルで活性化される主要な転写因子であるNF-kBが結合する領域が存在していたが,NF-kB結合配列とminimal promoterから成るレポーター遺伝子アッセイ系では,乳酸による活性増強はみられなかった。また,標的配列への結合活性にも影響はなかった。2.7kb内にはTLRシグナルによって活性化される転写因子の結合配列が他にも存在していたが,いずれの結合配列もTLRリガンド刺激には応答するものの,乳酸には応答しなかった。以上の結果から,乳酸はTLRシグナルとは異なるシグナル伝達経路を介してIL-23pl9遺伝子の発現を正に調節していると考えられた。また,乳酸のIL-23p19遺伝子発現増強作用は,細胞外液のpHを中和することで消失し,乳酸ナトリウムや塩酸では転写増強活性がみられなかったことから,monocarboxylate transporters(MCTs)を介して細胞内に取り込まれた乳酸イオンが活性を発揮すると考えられた。
|
Research Products
(2 results)