2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNAiスクリーニングによる住血吸虫免疫回避担当分子の網羅的検索
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19790305
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
熊谷 貴 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
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Keywords | 日本住血吸虫 / RNAi / sid-1 / dsRNA / 宿主-寄生体関係 / 寄生戦略 / 蠕虫 / 宿主RNA |
Research Abstract |
昨年度は住血吸虫に対してRNAiスクリーニングを行ったが、その過程で虫体へのdsRNAの取込みに興味深い点が見られたので、そこに焦点を絞り本年度の研究を行った。dsRNAは数時間以内に住血吸虫虫体内に速やかに取込まれ、多くの場合、dsRNAを含んだ小胞を形成することが、確認された。このようなdsRNAの取込みは自然感染状態でも行われているのかを検討するために、宿主のRNAを蛍光標識し、その取込みについて観察を行った。その結果、やはり宿主のRNAも同様に虫体内に取込まれていることが確認された。この現象は、住血吸虫が宿主に寄生する上で必要な戦略であると考え、dsRNAの取込みに関係する遺伝子を同定することを試みた。線虫であるC.elegansでは、RNAi関連分子としてSID-1が同定されている。このホモログを住血吸虫で同定することを試みた。日本住血吸虫では、SID-1のホモログが3種類見つかり、発育段階特異的なアイソタイプも見つかった。この分子をRNAiでノックダウンしたところ、sid-1のmRNAの発現を抑制することができた。このノックダウンした虫体に蛍光標識したdsRNAを取込ませたところ、予想に反して、dsRNAを多く含んだ小胞が多数形成された。このことから、sid-1は虫体内に取込まれたdsRNAが小胞から細胞質へ移行する際に、関わる分子であると考えられた。今後は、この分子をノックダウンした虫体での宿主RNAの取込みへの影響や、宿主寄生適応への関与に関して検討する予定である。
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Research Products
(3 results)