2007 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染によるCD8+T細胞の免疫記憶抑制機構の解明
Project/Area Number |
19790309
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 Nagasaki University, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30398151)
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Keywords | マラリア / CD8^+T細胞 / 免疫 |
Research Abstract |
[具体的内容] 1.活性化:B6マウスに移入したOT-I細胞(OVA特異的なTCRを有するCD8^+T細胞)はOVA組換えマラリア原虫(OVA-PbA)感染に対して非常に増殖し、活性化型CD8^+T細胞の表現型を示し、抗原特異的細胞傷害活性を有した。驚いた事にOVAを発現していないWT-PbA感染でもOT-I細胞の増殖および活性化が観察された。これらの事からCD8^+T抗原特異的にも非特異的にも活性化する事が明らかとなった。NK細胞除去マウスにおいて感染による活性化が抑制された事から、非特異的な活性化メカニズムの一つとしてNK細胞が産生するサイトカイン等の関与が考えられた。 2.サイトカイン産生抑制:未感染マウス比べて感染マウスから得られたOT-I細胞をin vitroでTCR刺激すると、IL-2だけでなくIFNγの産生も非常に低下していた。またマラリア感染により抗原非特異的にPD-L1(抑制性のリガンド)の発現は上昇したが、NK細胞を除去する事(1で示したように抗原非特異的な活性化を抑制する処理に相当する)で低下した。 3.アポトーシス:マラリア感染により抗原特異的な細胞においてPD-1の発現上昇が認められ、アポトーシスが誘導されていた。 4.まとめ:マラリア感染でみられる抗原非特異的な刺激は活性化と同時あるいは後続的に抑制反応を誘導する可能性が考えられる。アポトーシスは抗原特異的な細胞にのみ誘導されていたため、免疫や他の感染で既に報告されている「活性化後細胞死」である可能性が高い。 [来年度への期待] 活性化と抑制が一連の出来事であるのか、また記憶T細胞は存在し維持されるのか検討したい。
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