2008 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染によるCD8+T細胞の免疫記憶抑制機構の解明
Project/Area Number |
19790309
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 Nagasaki University, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30398151)
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Keywords | マラリア / CD8+T細胞 / 免疫 |
Research Abstract |
[具体的内容] B6マウスに移入したOT-I細胞(OVA特異的なTCRを有するCD8^+T細胞)はOVA組換えマラリア原虫Plasodium berghei ANKA(OVA-PbA)感染に対して非常に増殖し、活性化型CD8^+T細胞の表現型を示し、抗原特異的細胞傷害活性を有した。驚いた事にOVAを発現していないWT-PbA感染でもOT-I細胞の増殖および活性化が観察された。これらの事からマラリア感染によりCD8^+T細胞は抗原特異的にも非特異的にも活性化する事が明らかとなった(The Journal of Immunology 181, 1420-1428(2008))。 上述したマウスにおいて活性化OT-I細胞はその後メモリーT細胞に分化するのか検討するため、感染マウスをクロロキンとサルファジアジンを使って治療し、経時的にOT-I細胞をモニターした。その結果、感染後約120日で、CD62Lhi CD44hi(セントラルメモリー型)OT-I細胞が残存したことから、CD8^+T細胞はメモリー細胞に分化し長期生存できる事が明らかになった。 さらにマラリア感染に対するメモリーCD8^+T細胞の応答を調べるため、メモリー細胞が応答する事が知られているOVAリステリアをコントロールとして、in vitro誘導メモリーOT-I細胞の割合を比較した。その結果、OVAリステリアに比べ、OVAマラリア感染した場合メモリーOT-I細胞の増加が抑制された。 [意義、重要性] 本研究では、マラリア感染でメモリー細胞は分化できるが、せっかくできたこのメモリー細胞は感染中に正常に増加できない事を明らかにした。このことは、マラリアワクチンを開発してうまくメモリー細胞を誘導できたとしても, 実際にマラリアに感染するとそのメモリー細胞はうまく機能を発揮できない可能性を示唆している。今後はメモリー細胞増加制限メカニズムを解明しメモリー細胞の増加を導く方法を考案することで、効果的なマラリアワクチンの技術開発に貢献できると考えている。
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