2009 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラのマクロファージアポトーシス誘導と宿主免疫応答
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19790313
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高屋 明子 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (80334217)
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Keywords | サルモネラ / NF-kB活性化 / エフェクター / SPI1 / SPI2 / カスパーゼ-8 |
Research Abstract |
サルモネラの病原性発現に重要な因子の一つとしてSalmonella pathogenicity island 1(SPI1)がある。SPI1はタイプIIIタンパク質分泌機構(TTSS)をコードしエフェクターを分泌することにより、腸管直下に存在するマクロファージに作用しサイトカイン分泌を伴う炎症性細胞死を誘起する。昨年度までの研究により、SPI1がカスパーゼ-8の活性化を誘導し、このことがIL-1βのmRNAレベルを制御することによりSPI1依存的なサイトカイン産生制御に重要であることを報告した。IL-1βの転写はNF-kBにより促進されることから、SPI1はカスパーゼ-8を活性化することによりNF-kB経路を活性化し、その結果サイトカインの転写を促進している可能性が考えられる。そこで本年度はSPI1依存的にNF-kBが活性化される可能性について検討した。その結果、SPII依存的なカスパーゼ-8活性化がNF-kBを活性化していることが示唆された。 さらに、カスパーゼ-8の活性化に関わるエフェクターの同定を行った。カスパーゼ-8活性化レベルがSPI1発現レベルと相関することから、カスパーゼ-8活性化因子はSPI1転写因子Hi1Aによって発現制御されると考え、Hi1Aによって活性化させる遺伝子をDNAアレイによって検討した。その結果、GifsyプロファージにコードされるgogA、gtgA2の発現が活性化されることを見出した。これら欠損株を構築しカスパーゼ-8活性化を検討したところ、両遺伝子がカスパーゼ-8活性化に寄与することが明らかとなった。続いて、GogA、GtgA2のマクロファージへの輸送を調べたところ、両タンパク質ともにマクロファージ細胞質へ輸送されることが明らかとなった。興味深いことに、これら遺伝子の発現はSPI1のHi1Aによって転写活性化されるにも関わらず、細胞内移行はマクロファージ内で活性化されるTTSS、SPI2によって主に行われることが示唆された。以上の結果より、サルモネラはSPI1依存的にgogA、gtgA2の発現を制御しSPI2依存的にマクロファージに移行させることによりカスパーゼ-8を活性化し、NF-kB活性を誘導させることが示唆された。
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Research Products
(2 results)