2007 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌感染による宿主マクロファージ細胞死誘導の分子機構
Project/Area Number |
19790315
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 志穂 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特別孝育研究員 (80444074)
|
Keywords | 病原細菌-宿主間相互作用 / 細胞死 |
Research Abstract |
赤痢菌は宿主への侵入後、マクロファージに細胞死を誘導することによりその攻撃から逃れることができる。近年、この細胞死が既知のものとは異なる特徴を示す新しいタイプの細胞死であることが判明し、Pyroptosisと命名されている。赤痢菌の感染成立に影響する重要な要因であるにも関わらず、未だその分子機構は明らかになっていない。 今回、当研究者は、赤痢菌タイプIIIエフェクターXが赤痢菌感染によるマクロファージ細胞死誘導に必須であることを見出した(投稿準備中)。マクロファージに赤痢菌野生株、エフェクターX欠損株及び過剰発現株を感染させ、LDHアッセイ及び顕微鏡観察を行ったところ、細胞死誘導がエフェクターX分泌依存的に認められた。LPS刺激により活性化したマクロファージに対しては、細胞死誘導がより促進された。また赤痢菌感染マクロファージにおいて、エフェクターXの分泌依存的にPyroptosisの典型的特徴として知られるcaspase-1活性化が認められ、更にcaspase-1 inhibitor処理によりエフェクターX依存的細胞死は阻害された。また、本細胞死はMG132処理により阻害されることより、エフェクターXの活性がユビキチン・プロテアソーム経路に依存するものであることが示唆された。 エフェクターXに結合するマクロファージタンパク質の探索をPull down法を用いて行った結果、細胞死抑制因子の1つであるタンパク質Yが特定された。これより、エフェクターXがタンパク質Yをユビキチン化し排除することにより細胞死を誘導している可能性が推測された。現在、タンパク質Yに対するエフェクターXの活性を検証中である。
|