2007 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌の3型分泌装置依存的炎症性サイトカイン産生抑制機構の解析
Project/Area Number |
19790320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
児玉 年央 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (20346133)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 3型分泌装置 / エフェクター / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌感染症の臨床症状では、炎症反応が低いという特徴を有する。しかしながら、その機構は全く明らかにされいない。これまでの解析結果により、この炎症抑制作用は3型分泌装置(Type IIIsecretion system;TTSS)依存的であり、さらに未知のエフェクターが寄与している可能性が示唆されている。そこで、まずエフェクター同定のためのアッセイ系を確立した。本研究では、EHECを宿主細胞に感染させるのではなく、EHECの培養上清をprotein transfection(つまり培養上精に分泌されたエフェクターを人工的に細胞内に注入する)し、その細胞のTNF刺激に対する反応性を解析するというアッセイ系を考案した。種々のEHEC変異株およびprotein transfection試薬を検討した結果、DsepL株およびChariotprotein transfection regent(ACTIVE MOTIF)を用いたときにもっとも良好な結果が得られた。さらに培養条件は、DMEM、37℃、5時間振とう培養がもっとも至適であった。次に、このアッセイ系においても、野生株EHEC感染細胞で認められる、TNF刺激によるIL-6誘導過程におけるIkB-αのリン酸化およびプロテオソームによる分解過程の阻害が、同様に認められることを確認した。現在、得られた条件で、EHEC培養上清の分画を行っている。これらの知見により、今回確立したアッセイ系は、野生株EHEC感染細胞で認められる炎症性サイトカイン産生抑制作用に寄与するエフェクターと同様もしくは類似の分子(エフェクター)を同定する上で好ましい系であることが示唆された。
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Research Products
(9 results)