2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム構造解析に基づいたE型ポツリヌス毒素遣伝子の由来と伝達機構に関する研究
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19790321
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阪口 義彦 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70403491)
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Keywords | ボッリヌス菌 / 伝達機構 / プラスミド / C2毒素遺伝子 / ボツリヌス毒素遺伝子 |
Research Abstract |
最近、E型ボツリヌス菌の全ゲノム塩基配列の決定が進められている。E型ボツリヌス毒素遺伝子の由来と伝達機構を明らかにする手がかりとして、今回、C型とD型ボツリヌス菌が産生するC2毒素(C2)をコードする遺伝子がプラスミドに局在している可能性を示唆する結果を得た。本毒素はC2IとC2IIからなる2成分毒素で、両者の共存下で生物活性を示す。本プラスミドの解析を進めることで、伝達機構の解明につながる可能性があると考え、C2遺伝子の由来を明らかにすることを目的として、C型菌プラスミドの全塩基配列を決定し、ゲノム解析を行った。 C型とD型有毒株とその無毒株について、制限酵素未処理でパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を行い、C2Iをプローブにしてサザンプロット解析した結果、100〜110kbの位置に強いシグナルが検出された。種々のC型とD型菌からプラスミドの抽出を試みたが、完全なプラスミドを精製することが非常に困難であった。そこで、既知のC2遺伝子配列を基に、インバースPCRとPCRウォーキングにより全ゲノム塩基配列の決定を行った。本プラスミドの全塩基配列は106,981bpの環状2本鎖DNAで、Gc含量は26.7%であった。本プラスミド上には、C2を含む125個のタンパク質をコードする領域(ORF)が同定された。また、核酸代謝に関与する遺伝子が多数存在し、その並びもよく保存されていた。一方、本プラスミド上には新しいタイプのinsertion sequence (IS)とその残骸が存在し、ISとしての構造守確定することができた。 他のC型およびD型菌C2プラスミドゲノム上の各遺伝子のPCRスキャニング解析を行ったところ,核酸代謝に関わる遺伝子の並びがよく保存されていた。また、C型とD型菌のC2遺伝子およびその上流と下流の5kbの塩基配列を決定し比較したところ、小さい遺伝子が欠損していたが、配列レベルではC型とD型は各遺伝子が非常に良く保存されていた。これらの研究結果から、昨年度の研究目的が達成でき、現在、論文の作製に取りかかっている。 本年度の研究計画は、Clostridium argentienseから精製したG型ボツリヌス毒素遺伝子をコードするプラスミドの全塩基配列の決定とゲノム解析を進める予定である。
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