2008 Fiscal Year Annual Research Report
カンジダにおけるアポトーシス機序の解明と新規治療戦略の開発
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19790324
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮崎 泰可 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (60448496)
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Keywords | 感染症 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の最大の目標は、病原真菌であるカンジダのアポトーシス機序を解明し、臨床応用への検討を行うことである。前年度にCandida glabrataのMCA1(metacaspase1)遺伝子欠損株と過剰発現株の作製に成功したため、今年度はその表現型の解析を行った。MCA1の単独欠損のみでは各種薬剤に対する感受性や病原性に大きな変化を与えないことが明らかになった。アポトーシスと細胞壁との関連性について検討するため、種々の細胞壁合成阻害剤に感受性を示す遺伝子欠損株を作製した。細胞壁合成阻害剤に感受性を示した株の表現型解析を行い、各シグナル伝達経路の上位性について、その一部を明らかにした。これらの株でアポトーシスを誘導し、細胞壁とアポトーシスの関連性について今後も研究を継続していく予定である。 酵母細胞では酸化ストレスの存在下でmetacaspase依存性のアポトーシスが誘導されるが、病原真菌細胞における酸化ストレス応答能とアポトーシス誘導の関連性は未解決の分野である。酵母細胞ではAP1やSKN7が酸化ストレス応答に重要な転写因子とされている。まずは、酸化ストレス応答能に必要なシグナル伝達経路をC. glabrataで確認するために、これらの遺伝子欠損株をC. glabrataで作製したところ、両株ともに高度のH2O2感受性を示すことが確認された。また、AP1欠損株は病原性の低下を認めなかったが、SKN7欠損株はマウスのカンジダ血症モデルにおいて有意に病原性の低下を認めた。酸化ストレスの存在下で種々の標的遺伝子の発現がSKN7欠損株では低下していることが確認された。これらのデータは病原真菌における酸化ストレス応答能と病原性、細胞死メカニズム解析の第一歩として有用なものであると考えられ、現在英文専門誌Mycopathologiaに投稿中である。
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