2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790325
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井口 純 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (00437948)
|
Keywords | 大腸菌 / O抗原 / 水平伝播 / 比較ゲノム |
Research Abstract |
細菌ゲノム中には外来性遺伝子(群)だと予想される領域が多く含まれるが、構造的にmobile elementとは認められないケースも多く、そういった外来性遺伝子の伝達メカニズムはほとんど明らかになっていない。大腸菌におけるO抗原の変化は、O抗原コード領域が外来性のそれと入れ換わることにより起こると予想されるが、その一般的メカニズムも明らかになっていない。本研究では、O抗原コード領域とその周辺領域を株間で比較することにより、水平伝播領域の特定および入れ換わった領域の特徴を調べた。MLST解析により系統的に近縁であることが明らかな大腸菌O157株とO55株を用いて解析を行った。O157株の全ゲノム配列を基に作製したマイクロアレイを用いてCGH解析を行った結果、O55株では主に複数のプロファージ領域とO157抗原コード領域を保有していなかった。加えて、O抗原コード領域周辺(約120kb)では他の領域と比べてシグナルが明らかに弱く、配列の多様化が予想された。O55抗原コード領域とその周辺領域(計170kb)の塩基配列を決定し、比較解析を行った結果、O抗原コード領域(約20kb)を含む約130kbもの領域が水平伝播により入れ換わったことが明らかとなった。以上の結果と昨年度に報告した結果を踏まえて考えると、O抗原の変換はO抗原コード領域のみが入れ換わるのではなく、その周辺領域を含む大きな領域が相同組換えにより入れ換わることにより起こると予想された。
|
Research Products
(6 results)