2008 Fiscal Year Annual Research Report
TLR4シグナル阻害ペプチドを用いた感染認識機構の解析及び敗血症治療薬への応用
Project/Area Number |
19790329
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
杉山 圭一 National Institute of Health Sciences, 衛生微生物部, 主任研究官 (80356237)
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Keywords | 感染症 / ペプチド / TRL4 / 敗血症治療薬 |
Research Abstract |
Lipopolisaccharide (LPS)により誘導されるTLR4シグナルを阻害する17アミノ酸からなるペプチド(STM28)の作用機序をより詳細に検討する為に、TLR4シグナル伝達経路を構成する2経路(MyD88依存・非依存経路)に対する作用を検証した。その結果、STM28はLPSにより誘導される両経路を介したTLR4シグナルを濃度依存的に抑制することが明らかとなった。本結果から、STM28はLPSにより惹起されるTLR4シグナル全般を抑制すること、並びにSTM28のLPSシグナル阻害機序が細胞内のシグナル伝達系より上流に存在することが示唆され、STM28の薬理作用の解明に貴重な知見が得られたと考えられる。 また本年度では、エンドトキシンショックモデルにおいて明確な敗血症治療薬としての有効性を示すSTM28の薬理作用をより詳細に検討する目的で、昨年度に確立した穿孔性腹膜炎モデルにおけるSTM28の効果を検討した。その結果、STM28を投与した同モデルマウスにおいて、検討した条件下では致死率の減少は認められなかった。穿孔性腹膜炎モデルは、その処置からその起炎菌がLPSを外膜構成成分として有すグラム陰性細菌に限定されるものではないと予測される。STM28はTLR4の細胞外ドメインヘの相互作用を指標に単離されたペプチドであり、またin vitroの解析においてTLRシグナルヘの阻害作用はTLR4特異的であることが強く示唆している。従って、in vivoでのSTM28の薬理効果の精緻な検証には、同ペプチドのグラム陰性細菌による感染実験に対する効果を確認する必要性があることが本研究結果から明確となった。
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