2008 Fiscal Year Annual Research Report
多段階発がん機構におけるジンクフィンガーホメオドメインタンパク質の機能解析
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19790344
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中畑 新吾 University of Miyazaki, 医学部, 助教 (80437938)
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Keywords | 癌 / ウイルス / 遺伝子 / ゲノム |
Research Abstract |
我々はこれまでに成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)のゲノム解析から染色体切断点集中領域10pll.2を同定、TCF8遺伝子をがん抑制遺伝子候補として単離した。TCF8欠損マウスの解析を行い、その結果主としてCD4+CD8-SPTリンパ腫を、一部にCD4+CD8+DP胸腺原発Tリンパ腫を形成した。ATLL細胞の白血病化機構の一つであるTGF-betal不能性について、TCF8がTGF-betal情報伝達を正に制御する事が報告されているため、TCF8発現低下との関連性を検討した。ATLL細胞株へのTCF8遺伝子強制発現は、TGF-betalによる増殖抑制を回復させ、さらにTCF8発現Tリンパ球性白血病細胞株にshTCF8を導入すると、TGF-betalによる増殖抑制能が低下した。一方がん細胞におけるTGF-betal不能性の原因の一つとして抑制性SmadであるSmad6/7の過剰発現が報告されているため、ATLL細胞においてSmad6/7の発現を検討した。その結果Smad7がATLL細胞株並びに患者検体において恒常的に高発現していることがわかった。ATLL細胞へshSmad7を導入しその発現を抑制したところ、TGF-betalによる増殖抑制を回復させた。またこのSmad7の高発現は、NF-kappaB阻害剤の投与もしくはshIKK-alphaの導入により、Smad7発現低下とTGF-betalに対する感受性の回復傾向が見られたことから、NF-kappaBによる制御を受けている可能性を示唆した。従って、ATLLにおけるTGF-betalの不能性は、NF-kappaB活性化を介したSmad7の恒常的な高発現、及びゲノム異常に伴うTCF8の発現低下が関与しているものと考えられる。ATLLの特徴であるTGF-betal不能性とNF-kappaB活性化が白血病化に深く関係していることから、今回発見したTCF8転写抑制とSmad7活性化を起点に、新しいATLL発症機構が解明できる可能性がある。
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Research Products
(6 results)