2010 Fiscal Year Annual Research Report
多段階発がん機構におけるジンクフィンガーホメオドメインタンパク質の機能解析
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19790344
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中畑 新吾 宮崎大学, 医学部, 助教 (80437938)
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Keywords | 癌 / ウイルス / 遺伝子 / ゲノム |
Research Abstract |
我々はこれまでに成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)のゲノム解析から染色体切断点集中領域10p11.2を同定、TCF8/ZEB1遺伝子をがん抑制遺伝子候補として単離し、さらにZEB1欠損マウスはその多くがCD4^+Tリンパ腫白血病を発症することを報告した。今回、ATLL細胞におけるZEB1の標的遺伝子を同定するためZEB1安定発現ATLL細胞株を樹立し遺伝子発現解析を行った。その結果、ZEB1安定発現ATLL細胞株は増殖抑制性を示し、CCNG2、CDKN1A(p21/WAF1)等の細胞周期調節遺伝子群の転写活性化が認められた。CDKN1Aは癌抑制遺伝子として知られ、多くの白血病・癌においてCDKN1A遺伝子の不活性化が報告されている。そこで我々はZEB1によるCDKN1A転写制御機構について詳細に解析した。CDKN1A遺伝子の転写開始点上流2.4k領域内にはZEB1結合配列であるEbox様配列が5カ所に存在する。ZEB1はこのうちの3カ所のEbox様配列に結合し、CDKN1Aの転写を活性化することが明らかになった。さらにCDKN1Aプロモーターの活性化にはp300ヒストンアセチル化酵素との相互作用が必要であり、コリプレッサーCtBP結合部位近傍のリジン残基がp300によりアセチル化されることが必須であることが明らかになった。さらに転写活性に関わる新規結合タンパク質を同定した。従ってATLLにおけるゲノム異常に伴うZEB1遺伝子発現抑制は、CCNG2やCDKN1A遺伝子転写抑制をもたらしATLL細胞の増殖能を亢進させる事が示唆された。以上より、ATLL白血病細胞におけるCDKN1Aの不活性化にZEB1遺伝子の直接的な関与が初めて示された。
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Research Products
(5 results)