2007 Fiscal Year Annual Research Report
コロナウイルス細胞侵入機構の解明:ウイルス膜融合蛋白の活性化に伴う構造変化の検出
Project/Area Number |
19790346
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松山 州徳 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第3部第5室, 主任研究官 (90373399)
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Keywords | ウイルス / 構造変化 / 感染 / S蛋白 / MHV / エンベロープ / 中間体 / 膜融合 |
Research Abstract |
マウスのコロナウイルス(mouse hepatitis virus strain 2:MHV-2)を用い,膜融合蛋白(Viral Fusion Glycoprotein:vFGp,MHVのvFGpはS蛋白と呼ばれている)の動作メカニズムの解析を行った。エンベロープウイルスが標的細胞に侵入するためには,ウイルスの脂質二重膜(エンベロープ)と細胞の脂質二重膜を融合させる必要があるが,S蛋白は膜融合過程の全てを仲介している。S蛋白は連続的な構造変化によって活性化すると考えられており,そのメカニズムは未だ解明されていない。本研究ではまず,S蛋白の構造変化中間体の検出をウエスタンブロット法とリボソーム浮揚法により試みた。S蛋白はレセプター蛋白(mouse CEACAMla)に結合することにより構造変化し,膜融合ペプチドを露出した状態で安定した構造変化中間体をとることが解った。この中間体はプロテアーゼ切断が行われない限り構造変化を停止しているため,非常に安定していると考えれられる。様々なウイルスで,S蛋白の構造変化中間体を安定した状態で検出できることは稀である。またプロテアーゼ感受性を調べることにより,この「安定構造」は非対称構造をとる可能性があること,また構造変化最終段階である6ヘリックスバンドル(6HB)構造を誘導できることが解った。さらにMHV-2の構造変化は2ステップの構造変化をとること,つまりレセプター結合とトリプシン切断により二段階の構造変化を必要とすることがわかった。これらの特性により,MHV-2を使った研究からS蛋白の動作について新たな知見が得られることが期待できる
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