2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス侵襲が脳内グリア細胞のケモカイン産生を誘導する分子機序の解明
Project/Area Number |
19790349
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中道 一生 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第一部, 主任研究官 (50348190)
|
Keywords | グリア / 脳 / ケモカイン / ウイルス |
Research Abstract |
ウイルス侵襲に対する脳のケモカイン応答は感染局所への白血球の動員を促進し、病原体の排除に働く。本研究は、ウイルス侵襲に対するグリア細胞のケモカイン応答を生体レベルで明らかにすることを目的とする。申請者らは平成19年度から20年度までの本研究において、ウイルスに感染したマウスの脳における時間的・空間的なケモカイン応答を解析し、感染に伴って遺伝子発現量が増加するケモカイン(IP-10/CXCL10)を特定することに成功した。平成21年度においては、ウイルスに感染した脳組織におけるケモカインCXCL10の蛋白質レベルでの発現様式を解析した。狂犬病ウイルスをC57BL/6マウスの大腿部筋肉内に接種した後、全身の麻痺を呈した時点で血管内灌流による組織の固定処置を施した。マウス個体から脳を採取した後、凍結切片作成用コンパウンドに包埋し、凍結ミクロトームを用いて脳組織の切片を作製した。得られた組織切片をCXCL10もしくは狂犬病ウイルスに対する特異抗体と反応させた後、特異抗体に対する蛍光標識二次抗体を用いて目的の蛋白質を染色した。ウイルスを接種していないマウスの脳組織では、CXCL10の蛍光シグナルは認められなかった。これに対して、狂犬病ウイルスを接種したマウスの脳組織においては、CXCL10陽性細胞がみられた。以上の結果から、狂犬病ウイルスを接種したマウスの脳組織では、特定のケモカインの蛋白質の産生が誘導されることが示された。
|
Research Products
(1 results)