2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790354
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長井 良憲 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (30431761)
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Keywords | 免疫学 / 自然免疫 / Toll-like receptor / 造血分化 |
Research Abstract |
本研究はTLRシグナルによる造血分化制御機構の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。 1) 造血分化制御におけるTLRシグナル解析 これまでに、リンパ球系前駆細胞にTLR9が発現し、細菌DNAの刺激で、リンパ球系前駆細胞からのBリンパ球への分化が抑制され、形質細胞様樹状細胞への分化が促進されることを報告した。今回、TLR9を介して刺激を入れるヘルペス(HSV-1)をマウスに感染させる系においても、リンパ球系前駆細胞からの形質細胞様樹状細胞の分化が認められた。すなわち、実際の感染において、TLR9刺激により、造血分化の方向性が変化すること、造血前駆細胞が外的環境の変化に応じて、その分化経路を変化させることを明らかにした。 2) TLRシグナルの制御、その異常・破綻と造血異常との関連 Bリンパ球におけるLPS応答性には、TLR4/MD-2のみならず、RP105/MD-1が必要である。TLR4とRP105に対するagonisticな抗体を用い、両者のシグナルを検討した。両者の刺激共に、Bリンパ球に著明な増殖反応を誘導した。また、クラススイッチ変換、形質細胞への分化には、TLR4のシグナルが重要であるが、一方、CD86やBAFF受容体の発現誘導には、RP105のシグナルが重要であることが示された。 3) 個体発生における自然免疫系分化とTLRシグナル これまでに、成体期の骨髄と同様に、胎生期の肝臓の造血前駆細胞においてTLRとその関連分子が発現していることを明らかにしている。今回、TLR4リガンドであるLPS刺激により、胎生期肝臓の造血前駆細胞もマクロファージ様細胞に急速に分化することを明らかにした。
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