2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫におけるNF-IL6の転写活性化様式とそのアイソフォームの機能解析
Project/Area Number |
19790358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植松 智 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (50379088)
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Keywords | NF-IL6 / アイソフォーム / LAP / LIP / 細胞内寄生菌 / 細胞内殺菌 / 転写制御 / LPS誘導性遺伝 |
Research Abstract |
NF-IL6は生体内で広く発現している転写因子で、感染防御、代謝、肝臓の再生、発生、細胞周期、癌新生など、様々な生理現象に関わっている。NF-IL6には、38 kDa LAP, 34 kDa LAPそして20 kDa LIPと呼ばれる3つのアイソフォームが存在している。LIPはN末の転写活性化ドメインを持っていないため、LAPによる転写活性化に拮抗する因子と考えられている。NF-IL6のアイソフォームの重要性や特異性は様々な論文で研究されてきたが、これらのアイソフォームのin vivoにおける役割は十分に解析されてこなかった。本研究課題では、炎症・感染時におけるNF-IL6の各アイソフォームの機能解析や活性化のメカニズムを明らかにすることを目的とする。アイソフォームの解析のために、各転写開始点のメチオニンをアラニンに置換した遺伝子変異ノックイン(KI)マウスを作製し、個体レベルで解析を行っていく。昨年、我々は主要な転写活性化因子の34 kDa LAPを欠如したKIマウス(C/ebpb^<M2OA/M2OA>KIマウス)を作製して解析を行い、34kDaのLAPは活性化したマクロファージにおいてNF-IL6による遺伝子誘導には必須であるが、細胞内寄生菌に対する殺菌には必要不可欠ではないことを明らかにした。本年度、我々は転写抑制因子のLIPを欠如したノックインマウス(C/ebpb^<M151A/M151A>KIマウス)を作製して解析を行った。C/ebpb^<M151A/M151A>KIマウスはメンデルの法則に従い正常か生まれた。C/ebpb^<M151A/M151A>KIマウスのマクロファージでは、LIPが激減していたが、なおも微量のLIP蛋白が発現しており38 kDa Lapや34 kDa LAPからcleavageを受けて作られることが分かった。C/ebpb^<M151A/M151A>KIマウスでは、UPが激減しているにもかかわらず、LAPの転写機能は抑制されていなかつた。NF-IL6のターゲット分子は正常に誘導されており、過剰発現することもなかった。また、細胞内寄生菌か対する殺菌能も野生型とかわらなかった。以上のことから転写によって作られるLIPはin vivoにおいてLAPの機能を抑制しないことがわかった。
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