2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790361
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀家 牧子 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, COR研究員 (20304222)
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Keywords | 自己寛容 / 胸腺 / オートファジー / MHC / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
オートファジー(autophagy)は、主として栄養飢餓状態に誘導される大規模な細胞蛋白分解・処理機構である。本研究では、オートファジーによるMHC class II経路を介した内在性自己抗原の提示が自己寛容の成立機構に関わっているか否かをオートファジーを起こせないマウスを用いて検討した。すなわち、Atg-7欠損マウスはオートファゴxゾームの形成不全によりオートファジー機構を欠くマウスであり、生後早期に死亡する。そこで、Atg-7ヘテロ欠損マウスを交配後、胎齢14.5日目の胎仔を取り出し、2-deoxyguanosineを含む培養液中で4日間培養した。この器官培養によってT細胞が除去され、いわば「器」のみの状態となった胎仔胸腺をヌードマウスの腎被膜下に移植し、移植後6週間目にレシピエントマウスにおけるT細胞の再構築状態をFACSにより確認した後、全身諸臓器について病理学的な検討を行った。さらに、移植胸腺から回収したT細胞を用いて、Foxp3に対するモノクローナル抗体により制御性T細胞の産生状態についても検討した。その結果、Atg-7欠損マウス由来の胎仔胸腺の移植によってレシピエントマウスに自己免疫疾患の発症は観察されず、また、制御性T細胞の産生にも異常を認めなかった。このことから、オートファジーが胸腺上皮細胞においてMHC class II経路を介した内在性自己抗原の提示によって自己寛容の成立機構に重要な働きを持つ可能性は低いと考えられた。なお、以上の結果をより明確にするためには、単一の自己抗原を発現するトランスジェニツクマウスと、その自己抗原を特異的に認識するT細胞を持つTCRトランスジェニツクマウスとの組み合わせを用いて、同様な実験を行うことが有効と思われる。
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