2008 Fiscal Year Annual Research Report
好中球の遊走におけるDOCK2の動態制御と細胞極性形成の分子機構
Project/Area Number |
19790362
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
錦見 昭彦 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 助教 (70404019)
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Keywords | 細胞遊走 / 細胞極性 / 細胞骨格 / アクチン重合 / リン脂質 / ホスファチジン酸 / ホスホリパーゼD / グアニンヌクレオチド交換因子(GEF) |
Research Abstract |
昨年度までに、走化性因子に応答した好中球の遊走における細胞極性の形成、ならびにDOCK2の先導端への移行に、ホスファチジン酸(PA)産生酵素であるホスホリパーゼD(PLD)の活性が必須であることを明らかにした。本年度は、まず、先導端の形成(局所的なアクチン重合)におけるPAの役割を検討するにあたり、好中球の細胞膜にミセル状にしたPAを取り込ませた。その結果、PAがDOCK2依存的に局所的なアクチン重合を促すことを明らかにした。次に、DOCK2とPAが直接会合するかどうかを検討するために、野生型あるいは変異型DOCK2を発現させたHEK293T細胞のライセートを、PAを含むリポソームでプルダウンしたところ、DOCK2のC末端領域の塩基性アミノ酸を介してPAと会合していることが明らかになった。また、PAとの会合能を欠失したDOCK2変異体が、PLD2活性に依存した膜移行が観察されなかったこと、また、DOCK2のC末端領域を、既知のPA会合領域であるSOS-PHドメインに置き換えたキメラタンパク質では、PLD2活性に依存した膜移行が観察されたことから、PAを介したDOCK2の動態制御に、DOCK2のC末端領域とPAの会合が重要であることが示された。そして、DOCK2欠損好中球に、野生型DOCK2やDOCK2-SOS-PHキメラタンパク質を導入した場合は、走化性因子に応答した、先導端形成や遊走能が回復したが、PAとの会合能を欠失したDOCK2変異体を導入した好中球では回復しなかった。以上のことから、走化性因子による好中球の極性形成ならびに遊走において、DOCK2の動態を制御している分子は、PLDにより産生されたPAであることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)