2008 Fiscal Year Annual Research Report
IL-27受容体シグナルによる炎症制御機構の解明および治療応用に関する研究
Project/Area Number |
19790363
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮崎 義之 Saga University, 医学部, 助教 (40380779)
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Keywords | サイトカイン / サイトカイン受容体 / IL-27 / IL-17 / アレルギー性疾患 / 炎症性疾患 / 原虫感染症 |
Research Abstract |
本研究では、IL-27/IL-27受容体(WSX-1)によるアレルギー性疾患および感染症における病態の制御機構およびサイトカイン制御による治療を主眼に検討を進めた。 アレルギー性疾患については、以前にWSX-1欠損マウスで喘息病態が増悪することを報告しているが、鼻炎モデルでは逆に軽微となることを明らかにした。所属リンパ節では、病態形成に関わるサイトカイン産生が亢進していて喘息と鼻炎で相違がないが、鼻腔洗浄液中のケモカイン(RANTESやTARCなど)の産生がWSX-1欠損マウスで低いことが病態の相違に関わることを示した。また、遅延型過敏反応モデルでは、WSX-1欠損マウスにおいてIL-17産生が亢進し、病態形成に中心的な役割を果たすTh1型サイトカインIFN-γの産生も亢進し、病態が悪化することを示した。さらに、リコンビナントIL-27の投与によって病態が軽減し、治療応用への糸口を見出した。 一方、IL-27が抑制的に作用する別の病態であるクルーズトリパノソーマ原虫感染における炎症反応では、IL-27による炎症性サイトカインIL-17の産生抑制が重要と推察されたが、WSX-1/IL-17両欠損マウスでも感染に伴う死亡率の低下は認められず、まず、原虫感染におけるIL-17自身の機能を明らかにする必要があると考えられた。そこで、IL-17欠損マウスを用いた感染試験を実施した結果、IL-17欠損マウスは原虫感染に対して易感染性を示し、死亡率が有意に上昇することが明らかとなった。IL-17欠損マウスで、感染局所への免疫細胞の遊走に障害は認められなかったが、炎症性サイトカインに加えて、抗原虫免疫に重要なIFN-γ産生も有意に低下することが明らかとなった。原虫感染時にIL-17産生が経時的に上昇することを確認し、原虫感染防御においてIL-17が重要な役割を担うことを示した。
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